前回のコラムでは、季節から健康を考えるというテーマのもと、肝臓と春の関わりについて述べました。
今回は季節の変わり目、特に梅雨について考えていきます。日本では春と夏の間に梅雨がやってきます。湿度が高く蒸し暑い環境が、身体にどのような影響を及ぼすでしょうか。
飲食物への影響としては、湿度が高く蒸し暑い環境では菌が繁殖しやすく腐りやすいので、感染症のリスクが高まります。冷蔵庫や空調設備などがない時代、東洋医学では季節の変わり目、特に雨季は飲食物による影響で、一年で最も病気にかかりやすい、免疫力が低下する時季だと考えられていました。
身体への影響としては、湿気による汗で皮膚がべとつき、毛穴が塞がりやすくなるため、皮膚呼吸がしにくくなります。べとついた汗を放置すると身体が冷えます。これは濡れた水着を着ているのと同じ状態なので、冷房などの影響を受けやすく、身体が芯から冷えてしまうのです。また、梅雨の間には気温が低い日もあるため、その寒暖差で冷えのリスクが高まります。冬は防寒の意識が高く、冷えへの対策もそれなりに行えますが、蒸し暑いと薄着になることが多く、冷えには無防備です。
身体が冷えると免疫細胞であるリンパ球の働きが低下します。リンパは外敵となる異物やウイルスに加え、癌細胞に対しても抗体を作り撃退する重要な役割を担います。風邪もウイルスですが、そのウイルスは慢性関節炎、リウマチ等の難病、肺炎等の重篤な症状の原因にもなります。冷えは万病の元、風邪は万病の元と言われる所以はここにあるのです。
このように、梅雨は菌やウイルスによるダメージを受けやすく、その結果風邪から難病、そして癌を最も誘発しやすい要注意の季節なのです。
ちなみに、菌もウイルスも癌細胞も、その餌となるのは糖です。この時季はいつも以上に糖を控えるという意識を持つべきです。また糖は糖化することでリンパ節を萎縮させるので、決定的に免疫低下を招きます。体調に違和感を覚えたら、身体を温めること、糖を控えることを意識して、梅雨を乗り切りましょう。
また足の親指の爪の生え際(アーチ側)が、リンパを生成する脾臓の養生ポイントです。糖を控えると同時に、養生ポイントのツボ押しを行いましょう。
親指の爪の生え際 ツボ押し棒で2~3分程押す
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