女性は、大腸内視鏡検査で泣きだしてしまう?
「大腸透視も内視鏡検査も、肛門に管や内視鏡を入れられてしまうわけで、被検者は屈辱感を味わいます。神経の細かやかな人には耐えがたいはずで、女性のなかには、これで泣きだしてしまう人もいます」(118ページ)
大腸内視鏡検査を受けるほとんどの人は、ガン検診の必要性を理解していますので、検査に対しては協力的で、屈辱感はないと思います。私の経験では、検査中泣きだした人は1万人中1人もいません。大腸内視鏡検査では、肛門のところにスリット状の穴の開いた使い捨ての紙パンツをはき、検査中は部屋を暗くします。スタッフはなるべく患者さんの足元に立たないなど女性の方も恥ずかしくなく検査を受けられるよう配慮しています。
医師によって天と地ほどの違い?
「内視鏡検査の腕前には、医師によって天と地ほどの違いがあります。たとえば大腸の検査は難しく、30分はゆうにかかる医師が多く、15分で終われば早いといわれます。ところがこの検査をわずか5分で終えてしまう医師もいます。そういう医師にしてもらえれば、痛みのほとんど感じないはずですし、事故率も低いでしょう」(58ページ)
近藤氏は、実際に検査をやっているところを見たことがないのではないでしょうか。
大腸内視鏡検査を5分で終えてしまう医者はいません。内視鏡医が言っている時間とは、検査全体の時間ではなく、スコープの挿入時間のことです。
挿入時間は早い人で3~5分ですが、抜去時の観察とポリープ切除のために10分ほどはかけますので、検査全体の時間となると、最低でも15分はかかるでしょう。
ただし、5分で挿入してしまう医師に検査をしてもらえば、痛みもほとんど感じないし事故率も低い、というのは本当です。
「しかし腕前が向上して、1件あたりの時間が短くなれば、多数の検査をこなせますから、事故率は低くなっても、トータルの事故件数はかえって増加しかねない」(59ページ)
これは詭弁というか、おかしな論理です。
この文章の結論は、「腕前は向上しないほうがいい」ということでしょうか?
「(大腸)内視鏡検査では、内視鏡を奥に進めていくときに、相当な苦痛が生じることがあります。あまりに苦しがるので、全身麻酔して被検者を眠らせて、その間に内視鏡検査をする医師もいるほどです」(119ページ)
麻酔の是非についてはすでに述べたとおりですが、静脈麻酔の目的は、患者の苦痛の軽減だけでなく、検査に対する心理的な不安の軽減という意味もあります。腕のいい医師はほとんど痛みを感じさせないでスコープを挿入しますが、あらかじめ患者の不安を除くために、眠らない程度の少量の麻酔を使用する場合があります。
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