2019年9月の台風15号は、小型ながら記録的な勢力を持ち、関東南部に大規模な被害をもたらしました。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。このメルマガが発行される頃には、だいぶ復旧していると期待しておりますが、通電火災やソーラーパネルから発火(次号で解説します)したりし始めています。罹災した場合、自宅から離れるときにはブレーカーを落としましょう。
千葉県のゴルフ練習場、「市原ゴルフガーデン」の施設倒壊は、死者こそ出ませんでしたが恐ろしい事故でした。今月は、施設責任者による賠償と被害者の自助努力について解説していきます。加害者「市原ゴルフガーデン」(以後、「市原ゴルフG」と略す)の経営母体は、ゴルフ業界の中でも大手であり、財務能力については問題が無さそうです。保険にも加入していると思われます。さて、被害者は十分な補償を得られるのでしょうか。
まず企業責任が有るか無いか、今後話し合われていくことになるでしょう。「企業側に責任が無い」と考えられるケースもあるのです。例えば記録的な瞬間風速で倒壊した建物が、法定基準通りに建築されていた場合には賠償責任は問われない。とされているからです。東京電力の送電線の鉄塔倒壊も、57m/sを超えた暴風では企業責任は問うことまでは不可能でしょう。
※自然災害の被害による賠償義務はない(下記ご参照)
では「修理代は」「再建費用は」はどうしたら良いのでしょうか? この様な場合に火災保険が役に立ちます。火災保険は火災事故だけに支払われる訳ではなく、ご自宅の色々な事故・被害に対応できる内容になっています。今回のケースは「外部からの物体の衝突(保険会社によって名称は異なります)」に該当し、支払い対象になります。テレビで拝見する限り、補修修理で直せる状態では無さそうです。全損認定される可能性も大です。更にホテル暮らしや、引越し費用も掛かるでしょう。特約で費用保険が付帯されてれば別枠で支払われます(限度額アリ)。何よりも大事なのは、スムーズに事が運ばれ、安心できることです。民事的な損害賠償は、時間が掛かることが厄介です。火災保険で支払われた保険金は、保険会社に請求権が委譲され、今度は保険会社が求償権を持って加害者側に請求し回収します。被害者が加害者と交渉する事もなくこの方が早くてスマートです。
さて、今回の「市原ゴルフG」のケースは、台風上陸直前にネットをすべて下ろすべきでした。5年前から行政にも指導も受けていたようです。にもかかわらず、「天井部だけは下ろせたが側面のネットは下ろすことができなかった」と説明しています。企業側の重過失は否めないでしょう。企業は利益を追求していますから、支払う賠償金はなるべく低く抑えてきます。賠償とは、最低金額で義務を果たせます。しかも民事請求は、被害明細と事故との因果関係(今回は明らかですが)を被害者側が立証しなければなりません。益々時間が掛かります。
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