一般的に四季以外の季節の変わり目は土用の季節と言われ、古くから「土用にはウナギを食べて精力をつける」とも言われています。
ウナギはともかく、何故季節の変わり目、特に梅雨の時期に養生を心掛ける必要があるのでしょうか。
この時期、気温と湿度の上昇により、身体がじっとりとして不快なため薄着になっていきます。しかし、朝晩の気温差に加え、日によっても変化があるため、薄着のままで過ごすとその気温差についていけず、風邪を引きやすくなります。風邪は万病のもとと言われるように、その原因であるウイルスが引き金となってリンパのバランスが崩れ、免疫力が低下し、リウマチや難治性の自己免疫疾患を引き起こしやすくなるのです。
冬なら冬、夏なら夏、と季節に応じて住環境、衣服等で備えられますが、土用の季節は気温差に敏感に対応する必要があるのです。更に、湿気によって汗が皮膚にまとわりつくため、皮膚呼吸や発汗の効率が通常より悪くなり、そのタイミングで果物等の水気が多い物を頻繁に食すると、常に濡れた水着を着ているような感じになり、慢性的に冷えてしまいます。また、リンパにダイレクトに影響する甘い物を摂取する習慣がある方は、冷えによるリンパの低下とのダブルパンチになります。
かつて、冷蔵庫がない時代、この季節は湿気で食物が腐りやすく、カビなどの菌によって体調を崩すことも多かったはずです。ウイルスも菌も身体で活動しやすい季節なのです。
土用の季節は、温度、湿度の影響を受けやすいこと、果物、水物、甘いものの摂取をいつも以上に控える必要があることに、改めて留意して下さい。
ではウナギはどうでしょうか。ウナギにはビタミンEが豊富に含まれており、ステロイドホルモンの合成=精力増強、抗炎症作用、解毒作用=抗菌、排出等、抗血栓作用=血液循環を正常に保ち、脳や心筋の梗塞予防、そして抗酸化予防=抗癌効果が期待できる栄養素を有しているのです。そう考えると、確かにウイルス、菌、冷えなど自己免疫性疾患に陥りやすい季節には最適な食材と言えますね。
アボガドは果物の中ではビタミンEが豊富だと言われていますが、やはり果物なので、ビタミンEの摂取というメリット以上に身体を冷やし、糖化を引き起こし、リンパ系、ステロイドホルモン系に悪影響を及ぼします。節々の痛みが気になる方は、まず果物や甘い物を控えて下さい。
土用のウナギを広めることになるキャッチコピーを考案したのが、実は江戸時代中期に活躍した、エレキテルの発明で有名な平賀源内であったのは有名な話です。
売上が悪くて困り果てたウナギ屋さんが平賀源内に相談したところ、シンプルなこのフレーズが誕生したわけです。コピーライターとしても有能だったんですね。
300年も前に誕生したこのフレーズが今も使われているのだから凄い!既に当時から、土用の季節にはしっかり養生をしなくてはいけないと経験的に分かっていたこと、そしてウナギには健康増進効果があると広まっていたことが分かるエピソードと言えますね。
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