ストレスも習慣から その2
前回までのストレスコラムでは、心因性=ストレスとは「恒常性が乱れ各症状の発症に至るまで、一定期間ある感情が継続、習慣化している心理状態」と定義し、肩こり、腰痛、膝痛は勿論、病気や痛みのおよそ8割は根本的に心因性が関与している、とも述べました。
では何故心理状態が痛みや病気に繋がるのでしょうか。脳神経学的に言うと、まず目から入った情報を大脳皮質といわれる神経細胞が認識し、次にA10神経群と呼ばれる部位に到達します。(A10神経群とは、危機感の「扁桃核」、好き嫌いの感情の「側坐核」、言語や表情の「尾状核」、意欲や自律神経を司る「視床下部」等が集まった部分の総称です。)
ここで「感情」が生まれます。まずは目から入る情報に対し好き嫌いの感情が起こり、そこで意欲も自律神経も作用されていきます。
以前までのコラムで、自律神経は交感神経と副交感神経に分かれ、痛みや病気があるときは交感神経が優位、と繰返し述べてきましたが、脳の「側坐核」で嫌い、嫌だという感情を認知すれば、意欲が減退し交感神経が優位になる、というように「視床下部」は機能してしまいます。
好きも嫌いもその捉え方は人それぞれ、つまり思いこみです。習慣的に目に入るものに「嫌だ、これ嫌い」といった感情のレッテルを貼る方は、何かしらの痛みや不定愁訴を抱えることになるのです。
例えば、雨は嫌だと思うか、湿り具合が良くて好きだと思うかで、同じ環境でも捉え方は真逆になり、身体への影響も大きく変わってきます。
「暑いと苦痛だ」、「寒いのは嫌だ」と年中ネガティブなレッテルを貼るか、「四季折々に良いところがあり好きだ」というように、好きか嫌いかのどちらかしかないのです。
どのように感じても自律神経や意欲への作用は避けられないのですから、どんなことにも「食わず嫌いの習慣を捨て」、興味、関心を持つことが、自律神経を一定に保つポイントになります。
「興味ない」「嫌い」「つまらない」といった感情の「側坐核」、そしてそういった言語の「尾状核」は、今すぐやめろと言っています(笑)。
思っても口に出さないところから始めなければ、脳の習性は絶対に変わらないし、症状もなかなか好転しないでしょう。
このA10神経群の情報は、理解や判断を司る「前頭前野」に、そして記憶を司る「海馬回」に持ち込まれ、それらの段階を経て「思考」していきます。
「信念」「心」といった複雑な感情の形成や「記憶」の出来も、感情に左右されてしまいます。
好きこそものの上手なれ、とはよく言ったもので、脳のメカニズムとしても立証できます。
ある感情にとらわれ、ストレスが自律神経に影響を及ぼしている状況は、ある意味脳が「思考停止」に陥っている状態とも言えます。
意欲があるから状況を乗り越える為の一歩を踏み出せる、繰返し考え論理的に論証していくから問題が解決できるわけです。
繰り返しますが、まずは嫌い、興味が無いといった感情のレッテルを捨てなければいけません。ストレスのお話は続きます・・・。
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