昨今、「歩く」という日常単純な動作が見直され、生活習慣病を予防する代表的な有酸素運動として重要な役割も担っています。また、ただ歩くだけではなく、姿勢やフォームを意識すると更に副次的な効果も期待できるということが注目され、ウオ-キングドクターと称する方も登場するほどになりました。過去のメルマガにて歩行を工夫することは紹介させて頂いたこともあるかと思いますが、今回は一般的に美しいとされる理想のフォームとはあえて違う形で、視点をかえて歩行の重要性をご紹介します。
日本の伝統芸能である能、歌舞伎、舞、狂言や、貴族や武士の所作などにみられる摺り足歩行から考えてみます。現代人の歩き方と違い、両膝は常に曲がり、腕の振りは無く、スーッと足の裏を床に接地したまま移動するのが特徴です。この動きを実際に試して見ましょう。身体バランスに歪みがあると頭がぶれたり、片方の足が前に出しづらかったりと軸が定まりません。
具体的には、両膝を曲げ腰を落とし、背骨は床に対して垂直に維持します。両手は骨盤の前側の出っ張った骨である腸骨に置くと良いでしょう。
足の裏を常に床に接地したまま、滑らせながら前に移動します。
常に足首を曲げていないと摺り足にはなりませんね。胴体と頭は前後左右にぶれないように留意します。そのまま、後ろに下がっても良いでしょう。
この歩行の練習を行なうと身体にしっかり中心軸が作られので、現代的な歩行をこの後行なうと軸がぶれずに真っ直ぐスムーズに歩けます。体の中心、そして移動する方向へ地面に垂直にはしる縦の軸を意識できるようになると、ダイビングは勿論、歩行、ランニング、テニス、ゴルフなどあらゆる身体動作がスムーズに力強く行なえるようになります。
伝統芸能の所作にはやはりきちんと理由があるのです。思い出したら練習してみてください。
※靴は履かずに行なうので室内で練習しましょう。
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