●検診を拡大するな?
▼近藤誠著————
「いわんや検診の拡大は許されません。国は検診受診率を現行の10%から30%への3倍増をもくろんでいます。しかし、現状でも精検をまつ人が多すぎて、緊急を要する患者さんや、症状があって本当に苦しんでいる患者さんの診断治療が遅れています。それなのに受診率だけ高くすれば、病院は精検まちの人々であふれかえるでしょう」(206ページ)
————▲近藤誠著
たとえば大腸ガン検診をしないで放っておけば、ガンが進行して、腹痛や下血を起こして緊急で運ばれて来るでしょう。実際、そうして初めてガンが発見されることもよくあります。この人たちは、その場では救命できても、完治させることはなかなか難しいのです。もうちょっと早く症状に気づいて検査に来る人もいますが、やはり進行していることが多いです。
それでも、この人たちのうち約半数は完治します。しかし、検診で早期に見つけておけば、ほぼ全員が完治します。私は医師として、緊急を要するまで放っておいたり、症状が出るまで待たせることで患者さんの命を危険にさらすことはできません。
現代医学は、早期のガンに対してはひじょうに有効なのですが、手遅れになってしまってからのガンには、残念ながらほとんど無力です。
症状が出たり、緊急を要する状態になるまで放っておかないで、症状がないうちに早期に検診でガンを見つけるのが理想的だと考えます。
そんな状態になるまで放っておいてはいけないのです。
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