●若年者に無効なら、高齢者にも無効?
「検診が(胃ガン死亡率の高い)高齢者に有効なら(胃ガン死亡率の低い)若年者にも有効でなければおかしいはずで、それなら若年者も検診をうけたらいいでしょう。逆に、若年者に無効なら、高齢者にも無効というのが、原理的に一貫した考え方だと思います」(144ページ)
この論理は成り立ちません。疾患の頻度が高いほど検査の有効性は増すはずです。
胃ガンの増える年代を考えて検査を実施することは、たいへん意味のあることだと思います。1人やるなら全員やらなければ有効でないという考え方をする必要はありません。もし、どうしてもというのなら、たとえば小・中学生の胃・大腸ガン検診や、男性の乳ガン検診も実施しなくてはならなくなります。
病気の頻度が上がると検診の効率も上がることは、乳ガン検診へのマンモグラフィ導入についての近藤氏の言葉、「おまけに日本の乳がん発生頻度は欧米の5分の1ですから、マンモグラフィが有効としても、効率は欧米の5分の1にしかなりません」(203ページ)にも書かれています。
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