『それでもがん検診うけますか』(近藤誠著・文春文庫)という本を読んで、あまりにも誤りが多いので驚きました。
ガン検診そのものの有効性を疑わせるような内容で、この本の社会的な影響力を考え、反論することにしました。
内視鏡検査についての誤解と曲解
●胃ガン手術は七転八倒の苦しみ?
前掲書の中には、次のように書かれています。
「たとえば胃ガンでは、早期でも胃のすべてを切除しますが、そうなると七転八倒の苦しみです」(15ページ)
早期胃ガンでは、かならずしも胃のすべてを切除するわけではありません。
胃の部分切除をすることもありますし、場合によっては内視鏡で治療できることもあります。
このことは近藤氏も知っていて「ガンが発見されてしまった時は、胃なら内視鏡治療のように、なるべく小さな楽な治療にしてもらいます」(233
ページ)と書いてあります。
つまり、先の文章は胃の手術を受けなければいけない人の不安を“いたずらに助長するためのもの”なのです。また胃のすべてを切除しても、苦しくて七転八倒することなどなく、多くの人が普通に生活しています。
●肛門がヒリヒリ?
「大腸ガンの検診でも直腸に指を入れて調べます。(中略)肛門粘膜は弱いので、あとでヒリヒリしますし、痔持ちの人には大きな苦痛がともないます」(31ページ)
この本は前記のような記述が多いのですが、何のための記述か私にはよくわかりません。肛門がヒリヒリするから大腸ガン検診を受けるのはやめようということなのでしょうか。直腸診のときは、ふつう肛門に表面麻酔のゼリーを塗りますし、あとでヒリヒリすることはないと思います。
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