ところがそういったプロセスを経ずに、「どうせ確率の高い病気だろう」と決めつける、占い師か予想屋みたいな医師もいます。
たとえば、胃の調子が悪くて病院へ行くと、すぐに胃痙攣と診断されることがあります。
胃カメラか、せめて胃のバリウム造影検査で他の病気がないか調べもしないで「心配ありませんよ、胃痙攣でしょう」で診断はおしまい。本当なら、胃カメラかバリウム造影で、胃炎とか胃潰瘍でないかどうかくらい確認して除外しないかぎり、胃痙攣とは診断できないはずです。専門家なら、胃痙攣かなとは思っても、万一のこともあるので検査をします。
そういうふうにしてガンが見つかることも、けっして少なくないのですが、こうした手続きをきちんと踏まないと、重大な見落としが起きてしまうのです。
私の父親がガンだとわかったときも同じでした。
実際は大腸ガンだったのに、胃カメラの結果を見ただけで「大丈夫」と言われたのです。
医者は本来、軽々しく「大丈夫」と言ってはならないのです。最後まで徹底的に調べたうえでないと大丈夫とは診断できないはずなのに、患者に対してリップサービスをしすぎてしまう。すぐ「心配ありませんよ」と言う医者には注意しましょう。
患者の側からすれば、ガンを、口だけで「胃痙攣でしょう」と言ってもらっても、少しも嬉しくありません。気づいたときにはもう手遅れというのでは困ります。
どちらかというと、病気に対しては悲観的に診るタイプの医者のほうが信頼できます。
「大丈夫かもしれないが、もし万一悪い病気であるといけないから」という態度がないと、早期ガンなどとうてい見つかりません。
調子が悪くて病院に行ったのに、検査もせずに薬だけくれる担当医に当たってしまったら、別な専門医にセカンド・オピニオンを求めてみたほうがいいかもしれません。
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