穿孔と出血が内視鏡検査における2大事故ですが、それ以外にはどんなリスクがあるのでしょうか?
■穿孔
繰り返しになりますが、穿孔というのはスコープが腸を突き破ることです。挿入時にスコープを押しすぎて破ってしまう場合と、ポリープを取るときに、焼きすぎて腸に穴が開く場合があります。穿孔すると、外科的にお腹を開けて、破れたところを縫います。
■出血
ポリープを取った後、傷口から出血することです。再び内視鏡を挿入して止血操作をします。
■麻酔事故
麻酔が効きすぎて呼吸が止まる事故です。麻酔が覚めるまで人工呼吸すればいいのですが、気がつかないでいると植物人間になったり、死ぬこともあります。
■落下
冗談のようですが、落下事故というのは意外に多いのです。患者が検査台から落ちることです。高齢者だと、腕や腰の骨を折ったりします。
■ガス爆発
ガス爆発は、ポリープを取るときに火花が腸のガスに引火して腸内で爆発すること。びっくりします。
■機械の故障
機械の故障は、カメラが急に見えなくなったり、ポリープを切り取るワイヤーが切れたり、電気メスの電気が流れなくなったりということです。
■鎮痙剤の副作用
鎮痙剤(痙攣を抑える薬)の副作用は、薬のアレルギーとか、狭心症発作とか、検査後おしっこが一時的に出なくなり導尿するとかです。
こう書くと恐ろしいようですが、この中でたまにあるのは出血(2000件に1件)と機械の故障(年に1度)くらいのものです。
私は一万件以上やっていて、大事に至ったことは一度もありません。しかし、これらの事故が絶対起きないように、いつも心を新たにしています。
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