痛みのないプル法をより確実にするためには、できるだけ腸に空気を送り込まないほうがいいことがわかってきました。そうしている間に、まったく空気を入れない挿入法が完成したのです。
通常、従来の方法では、2リットルもの大量の空気を腸内に注入していました。それだけの空気が入ればお腹も張るし、たいへん苦痛を感じます。
私の開発した方法は、2リットルの空気を入れる代わりに、200ミリリットルの水を入れるだけです。この方法だと、プル方がひじょうにやりやすい。また、お腹が張ることもありません。
さらに、水のおかげで滑りがよく、流しそうめんのようにするするとスコープが滑って入っていきます。
実験してみたところ、水を使った方法では、スコープの摩擦は半分程度になっていることがわかりました。
つまり、1)スコープを押さず、ループを作らないこと 2)空気を入れず、お腹が張らないこと 3)滑りがよく、スコープを押す力が半分で済むことが、完全無痛の私のやり方です。
水を入れるこのやり方を、私は「水浸法」と呼んでいますが、このとき両手を自由にしたまま水を入れるポンプの装置は私が開発したもので、特許を持っています。
「水浸法」+「プル法」の私のやり方は苦痛が全くないので、患者さんにはとても評判がよく、特にかつて大腸内視鏡検査を受けたことがある人は、みんな驚きます。全く別の検査を受けたように感じておられるようです。
1章で述べた「徳洲会の鹿児島勤務時代」には、2日法の人間ドックを行なっていました。1日目は胃カメラ、2日目は大腸内視鏡というものです。
そのときの人間ドックの受診者へのアンケートによれば、胃カメラの検査の時には軽い麻酔を使っていたにもかかわらず、麻酔を使わない大腸内視鏡のほうが楽だったと答えた人が、100人中82人もいました。
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