ファイバースコープ関連の技術というのは、最先端のハイテク技術が集約されたものです。操作性や解像度は、初期のものと比べると隔世の感があります。
ここで、大腸内視鏡の挿入技術の進歩を振り返ってみましょう。
今では当たり前になっている、一人で操作する一人法は、日本人で渡米して活躍されている新谷弘実先生によって初めて生まれたものです。それ以前の時期は、すべて二人で大腸ファイバーを操作していました。
医師が操作部をコントロールし、助手がスコープの出し入れをしていたのです。術者と助手が声をかけながら入れていきます。大腸内視鏡は右手と左手の協調運動が大切だといわれますが、どんなに息が合っていても、二人でやるのは一人でやるほどなめらかにはいかないでしょう。
一人法も、当初は透視(レントゲン)を使ってやっていましたが、最近は透視なしが多くなってきました。透視を使う初期のやり方では、いったん腸をお腹の中で1回転させてループを描いてから、引き戻します。腸はループを描くときに引き伸ばされるので、痛みを感じます。
新しいやり方は、もっとエレガントなやり方です。私は自分で「プル法」と呼んでいますが、呼び方は人それぞれでいろいろです。
従来の方法とどこが違うかというと、要するにループを作らずに、スコープの先端の微妙な動きで調整しながら、スコープは直線化したまま、つまり軸がまっすぐな感じを保持したまま入れていくやり方なのです。
この方法の最大のメリットは、苦痛が少ないことです。プル法は、お腹の中にたくさん空気が入っていてはうまくいきません。プル法の術者は空気を入れないから、お腹が張ることが少ないわけですが、それも患者さんの苦痛が少ない一つの要因になります。
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