近年、医療事故のニュースがテレビや新聞の紙面を賑わす機会が増えています。
何年か前、東京の病院で、医師が胃カメラの検査を受けていたところ、検査終了時に呼吸が止まっていたという事故がありました。検査の苦痛を和らげるために使った麻酔薬が効きすぎて呼吸が停止してしまったのです。検査をしている医師は、それに気づかず検査を続けていました。
一般に、呼吸停止から5分経過すると、脳に不可逆的な損傷を及ぼします。
胃カメラの検査時間が10分とすると、終わってから気づいたときにはもう遅いということです。
大腸検査でも、初心者の医師ほど麻酔を使いたがる傾向にあります。検査の記憶が全くなくなるほど強い麻酔は、もしかすると危険と隣り合わせかもしれません。逆に、ベテランの医師の中には、麻酔を全く使わない単純検査にこだわる人もいます。
麻酔は是か非か?それは、患者が受ける苦痛の程度によるでしょう。
もし、外科手術を麻酔なしでやったとしたら、まさしく拷問です。もし大腸内視鏡検査をしていて痛がる人がいれば、私でも麻酔を使うでしょう。ただ、外科手術のときのようには使いません。私だったら、少しボーッとするくらいの浅い麻酔を使います。
そのくらいの量であれば、呼吸への影響はなく、安全だからです。
しかし一番望ましいのは、麻酔を使わなくても痛くないように検査をすることです。
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