大腸ガンという病気は、発生頻度がひじょうに高く、自覚症状もでにくいのですが、大腸内視鏡検査を受ければ、まず間違いなく見つけることができます。
また、ガンの進行が遅いので、助かりやすいという特徴があります。
大腸内視鏡検査が、大腸ガン予防に有効なのはおわかりいただけるでしょうが、早期発見だけでなく、治療面においてもきわめて高いポテンシャルを発揮します。
大腸内視鏡は、小さなポリープにできた早期ガンでも、開腹手術をしないで、検査と同時にその場で切除し、治療することができるのです。これを、内視鏡ポリープ切除術(ポリペクトミー)といいます。
もしガンになっていなくても、ポリープは放置しておくとガン化する可能性が高いので、可能な限り早期に切除したほうがいいのです。
大腸のポリープは、連続的に大腸ガンに移行していくので、たとえ良性でも切除するのが常識です。
これは、インターネットの医療相談で最近私が実際に受けた相談です。
「以前、バリウム検査を受けて、大腸に小指の先くらいの大きさのポリープがあることがわかったから、たぶん大丈夫でしょうといわれた。最近、腸の調子がよくないのだが、ポリープは大丈夫でしょうか?」
小指の先ほどといえば、ポリープとしては大きなほうです。この医者は、いったい何のために検査をしたのでしょうか?
進行ガンでないと対応しないのでしょうか?
「たぶん大丈夫」ということは、「もし万一」とは考えなかったのでしょうか?この方が、ガンでないことを祈るばかりです。
さて、ポリペクトミーの話です。
内視鏡検査の途中でポリープを発見すると、内視鏡を通っている細い管の中に、ワイヤを通します。それをポリープの根っこに投げ縄のようにかけて、根っこから切り取るのです。このときに、ワイヤに電気を通すと、ワイヤが電気メスとなって、ポリープがきれいに切り取られます。
切り取ったポリープは、別の鉗子で回収して顕微鏡の詳しい検査に出します。
そして、細胞の検査をする病理医にガンがないかどうかチェック(病理検査)してもらうのです。
大腸粘膜には知覚神経がないため、ポリープ切除のときにも痛みはなく、いつ切ったかわからないうちに治療は終わります。
そしてその日は家に帰って、家族と普通に食事ができます。
こんなに簡単に日帰りでガンの手術ができるのは、内視鏡によるポリープ切除術だけでしょう。
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