大腸内視鏡検査は、大腸ガン予防・治療のために絶対なのですが、初めて受けたときにとんでもなく痛い思いをした人は、「もうあんな検査は二度と受けない」と思ってしまいます。
患者さんにお願いしたいのは、「一回で懲りないでいただきたい」ということなのです。
大腸内視鏡検査は、すべての医療技術の中で最も医師の技術差の大きい検査で、ある人がやって死ぬほど痛かった検査も、別な人がやればウソのように痛くないというものです。
医師に対して言えば、たとえ検査を途中でやめることになっても、患者さんを苦しめてはいけないのです。
検査時に苦痛を感じたせいで、以後その人が検査恐怖症になり、将来の大腸ガンの発見を妨げる可能性もあるからです。現在の一時点でガンである確率よりも、将来のいつか、ガンになる確率のほうが高いのです。
一回の検査のせいで大腸内視鏡検査恐怖症の人を作ると、その人は検査を受けなくなり、よけい大腸ガンが発生しにくくなります。
「必ず全大腸を見る」などという医師のつまらない責任感とプライドが、逆に患者をガンの淵に追い込むことになる。内視鏡検査医たるもの、患者さんが苦痛を訴えたら、中止するだけの勇気を持っていただきたいと思います。
精度は多少落ちますが、バリウム造影などの代替検査法もあるのですから。
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