■痩せると腸が伸びて便秘になる?
あまり知られていませんが、人間の腸は、ダイエットすることによって長さが伸びてしまうのです。
腸は、ハウストラというアコーディオンのジャバラのような構造になっていて、腸壁の外側(ジャバラの谷間の部分)には脂肪が付いています。ところが、痩せて脂肪が減ってくると、この脂肪によって作られていたジャバラの谷間の部分がなくなって、全体が長く伸びきってしまうのです。
ダイエットによって腹部は痩せて小さくなっているのに、逆に腸はどんどん長くなってしまうのですから、大腸はお腹の中で折りたたまれた状態となります。それに、腸の長さが長くなれば、それだけ便は長時間滞留しますから、ますます便の水分が吸収されて、便通が悪くなるのも当然の結果でしょう。
痩せている人には胃下垂が多いと言われますが、それは内臓を支えるべき腹直筋が、痩せすぎることによって胃を支えていられなくなったことによって、腹腔の下まで下がるわけで、胃下垂に伴って、腸も下がってしまいます。
大腸は右腹にある「上行結腸」と、左腹の「下行結腸」の部分は固定されていますが、横に通っている「横行結腸」は固定されていないグニャグニャの状態なので、そこが腹腔の下部までグッと垂れ下がります。これが腸下垂です。
腸下垂が起きることによって、便秘はますますひどくなり、やがて下腹部が張ったり痛んだりするようになります。痩せている人で、食後、お腹の真ん中あたりが張ったり、痛みもあるようだったら、胃下垂か腸下垂かもしれません。
このように女性の便秘の原因は、第一にダイエットで食事の量が減少したことに伴う便量の減少、第二は、ダイエットによって腸が伸びてしまったことによる腸下垂、そして第三の原因として挙げられるのが、痩せることを目的として下剤を濫用したことによって起こるものです。
「ダイエットでスリムな体型になりたい」と熱望する女性たちの中には、便秘そのものを極端に恐れる人も少なくありません。何より「余計なものが詰まっているお腹をへこませたい。膨らませておきたくない」「便さえ出れば、その分体重が減る」と強く思っているからです。そこで、大量に下剤を飲むのです。
これが、逆に便秘をひどくすることは前に述べました。
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