ご存じのように、下剤には、先述した経口の便秘薬だけでなく、肛門からグリセリンを直腸に入れる浣腸もあります。
よく使われるイチジク浣腸は、腸を痙攣させて強制的に排便させる下剤です。
刺激系の飲み薬は腸全体を痙攣させるのですが、浣腸は、直腸とS状結腸に限局して作用するため、効果が早く出るのが特徴です。
ただし、人によってはかなり強い腹痛を感じる人もいます。慢性化した便秘に対して浣腸を常用する人もいるようですが、飲み薬同様、濫用すれば腸への悪影響は免れませんので、極力便秘薬や浣腸に頼らずに、自力で心地よい排便ができるよう、毎日の生活習慣を変える努力をしていただきたいと思います。
次に、便秘薬や便秘と関係のある腸の病気についてご説明します。
●大腸黒皮症(大腸メラノーシス)
大腸の粘膜は、意外にもきれいなピンク色です。
大腸の検査では、検査を受ける人はモニターに映し出された自分の腸内を見ることができます。初めて自分の腸の中を見た人は、予想と違ってあまりにきれいなので、たいてい驚きます。
ところが、センナ、大黄、アロエ等の大腸刺激剤を長く飲んでいると、大腸粘膜にメラニン色素が沈着して大腸が黒ずんできます。検査をやっていて、これに出くわすと下剤を長く飲んでいた人だとすぐにわかります。
今のところ、多少見栄えが悪い以外、これが直接体に害を及ぼすことはないと思われています。また、下剤をやめれば次第に回復するといわれています。
●コロコロ便
便は、小腸から出てきたときはまだ粥状で柔らかいのですが、大腸を通過中に水分が失われてだんだん硬くなってきます。
肛門から30センチあたりのS状結腸にさしかかるとき、一番折れ曲がりの強いところを通過することになります。おそらくここが便の通りの一番悪いところです。通りが悪いままストップすると、さらに水分は吸収されて便は硬くなります。
どうしても便が出なければ下剤を飲みます。そうすると大腸が痙攣し、硬くなった便を壊します。コロコロに壊れた便はやっとS状結腸を通過し、直腸に達します。
痙攣が起こるときには、便のあった左下腹部が痛みますが、便が通過してしまえばウソのように痛みは消えます。腸の動きがよすぎてこのあと下痢になることもあります。
これが一番よくある便秘のパターンです。
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