Dr.ゴトーの「今日も胃腸はいい調子」。医学博士、後藤利夫先生による、胃腸を健康にするコラム。誰も知らなかった便秘解消法など

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今日も胃腸はいい調子

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便秘治療の第一歩とは? 第22話

大腸の中には多数の腸内細菌がいます。それは本来、人間にとって不必要な栄養分を、大腸の中でさらに分解し、便を長く大腸内に溜めておくことができるように協力してくれるのです。つまり、共存の関係にあります。
その細菌の分布のことは腸内細菌叢、またはお花畑にたとえて腸内フローラといいます。

腸内細菌としては、善玉菌のビフィズス菌とか、悪玉菌のウェルシュ菌、大腸菌などがよく知られています。ウェルシュ菌は栄養を分解するときに、人間にとって有害な物質を産生するので悪玉菌と呼ばれるのです。悪玉菌は、腐敗菌、ガス産生菌などとも呼ばれます。この腸内細菌は、大腸内に100兆個ほどいます。人体を形成している細胞の総数が約60兆個であることを考えても、どれほど途方もない数かおわかりいただけるでしょう。
100兆個と言われてもなかなか見当がつかないでしょうが、仮に腸内細菌一個の直径を1ミクロン(1000分の1ミリメートル)として細菌を一列に並べると、その長さはなんと10万キロメートル(地球二周半)にも達する計算になります。この100兆個もある腸内細菌の重量は約1キロ余り。

赤ちゃんは出生直後には無菌状態ですが、母乳を摂取するとやがてビフィズス菌が腸に達し、しばらくはビフィズス菌優位の理想的なフローラが保たれます。しかし、やがて肉食が中心になるとウェルシュ菌や大腸菌をはじめとする悪玉菌が多くなります。
腸内では善玉菌と悪玉菌が勢力争いを続けながらも、死ぬまでずっと人間とともに生き続けるのです。
悪玉菌が出す有毒な物質は、腸の動きを悪くして便秘を助長したり、ガスを出して、お腹が張ったり、痛くなったりさせるだけでなく、大腸ガンの原因にもなります。ですから、腸の中の細菌を善玉菌優位にしてきれいな環境にしておくことは、便秘治療の第一歩であると同時に、大腸ガン予防の第一歩でもあります。

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