口臭のひどい人がいます。その原因が、口の中にあると考えている人が多いのです。だから歯磨きに時間をかけたり、口臭消臭剤を使ったりして、臭いを消すことに必死です。しかし、口臭の原因が腸内細菌にあるというケースが見られます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、腸内に菌を持っていません。母乳を飲みはじめることで、ビフィズス菌が増えはじめるのです。おかげで赤ちゃんは、安定した腸内環境を保つことができます。
問題は赤ちゃんの時にはビフィズス菌が優位だったのに、年齢が上がるにつれて悪玉菌が増える点です。腸内が汚染される原因となるウェルシュ菌に代表される悪玉菌(腐敗菌とかガス産生菌とも呼ばれます)が増えはじめます。口臭だけでなく、肌荒れの原因も悪玉菌で起こる腸内菌が悪玉菌優位になると、便秘になるだけでなく、大腸ガンになりやすくなります。またガスが出たりそれが臭かったり、お腹が張ったり、痛くなったり、頭痛といった症状の原因になるのです。そして女性がもっとも気にする肌荒れや体臭、口臭の原因にもなってしまいます。
善玉菌優勢から悪玉菌優勢に変わることを「菌交代」と言いますが、それが起こるのは生活環境の変化によります。最近は、比較的早い時期に菌交代が起こりはじめているようです。若い人の腸内でも、菌交代が始まっているのです。
風邪やアトピー性皮膚炎、花粉症に対して抗生物質が使われますが、その結果、菌交代が早まる原因になっているのです。医師の側にそうした問題意識を持たない人が多いのはとても困ったことです。また食生活の欧米化も大きな要因に挙げられます。悪玉菌はタンパク質を栄養としますので、肉食中心の人の腸内は悪玉菌だらけということになります。炭水化物中心の食事なら善玉菌が増える米やイモ、マメ類などの炭水化物中心の食事をしている人の腸内には、炭水化物を栄養とする善玉菌が数多くいます。また食物繊維の摂取量が足りないことも、菌交代を早める原因になります。
ダイエットも、菌交代を早める原因です。飢えた状態が、大腸の中の便を空にしてしまうからです。100兆もある善玉菌優位の腸内細菌が少なくなると、そのあとでタンパク質主体の食事をした時に分布が一気に悪玉菌優位に傾くことになってしまいます。
下剤もダイエットと同じで、菌交代を早めます。下剤が便と一緒に善玉菌を排泄してしまい、腸が空っぽになるからです。
次回・第5話は「大腸ガンは早期発見・早期治療が有効」です。
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