誰しも、親たちがいつまでも元気でいることを望んでいると思います。しかし昨今は、医学の進歩とともに長寿化が進み、生活基盤のインフラが整わず、予想外の事故・事件が多発しています。責任無能力者(セキニンムノウリョクシャ)。いやな発音ですよね。更に限定責任能力というカテゴリーもありますが、ここでは親を対象にした責任無能力者と監督義務者について提言します。
刑法上、私たちがこの世に生を受けてから14歳までは、責任無能力者として扱われ、処罰から逃れることは良く知られていることです。そして両親はこの間、監督義務責任を負うことになります。
ところが人生に於いて、もう一度責任無能力者になる可能性があるのです。加齢による認知症などがこのケースに該当し、この時の監督義務者は、配偶者や子供たちになるのです。しかも責任発生日は不明確で、事故・事件が発生すれば突然賠償責任を突き付けられる事になります。
例)
Aさんは大学進学を機に郷里を離れ、東京で就職し家族にも恵まれた。ささやかながらも順風満帆と思えた家庭生活に、突然高額な賠償請求が突きつけられてしまった。
郷里の両親は穏やかな老後を過ごしているものと思っていたが、父親が行方不明になることが度々あった様子。その一つが地元の鉄道を急停車させてしまい、通勤時刻にも重なり多大な迷惑を掛けていたとのこと。その結果の高額請求であった。
父は心身喪失状態のため(認知症など)、監督義務者は配偶者ならびに子供たち全員(遺産相続人と同一)であり、Aさんにも賠償責任が有るとみなされます。ポイントは、年を重ねると「子供が親の」立派な監督義務者になる、という事。しかもその日付は、誰しもはっきり分からないのです。
紙面の都合上、結論に入りますが、保険での対応しか方法はありません。無策では在宅介護は破滅してしまいます。保険商品名は個人賠償責任特約。保険会社によっては日常生活賠償特約とも呼ばれ、火災保険などの特約として加入します。保険料は年間約2,000円前後で、保険金額1億円を申し込めます。
現在この保険を自治体が包括契約する動きが目立ってきました。鉄道会社の経営を安定させることと、市民の在宅介護における不安を少しでも軽くしようとの思惑です。
現在、各保険会社による保険約款の改定も進んできており、いずれは国民が全員で加入することが理想になり、社会保険のひとつに加わるかもしれません。
例) 郷里にはご両親だけ。そして子供たち3人は、別々に暮らしている場合。
各々4件の個人賠償に加入する必要があります。大手保険会社は昨今、約款を良きに改定し補償内容が拡大されましたが、皆様が加入される保険会社が想定できませんので、最大公約数としてこの様な提案とさせていただきます。(文中にも記載しましたが、個人賠償は火災保険などの特約として加入するしか方法がありません)
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