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保険をもっとわかりやすく > 身近に感じる危機管理 > 第114話 糸魚川大火を考える

第114話 糸魚川大火を考える

昨年12月22日、新潟県糸魚川市にて大規模な火災が発生し約140棟が延焼。
幸いにも人命を失うことは免れましたが、罹災した方には心よりお見舞い申し上げます。

被害の様子はニュースにてご存知のことと思いますので、此処では別の見地から考えていきたいと思います。

■1.大火に耐えた奇跡の一軒
駅前の失火元から北の海岸少し手前に一軒だけ燃え移らずに耐えた家が明るいニュースとして報道されていました。家主は中越沖地震などを経験し「丈夫な家」を建築家に依頼。結果、外壁はれんがとステンレス、屋根には洋瓦とステンレスを使ってある。これが今回のキーワード“飛び火”に強かったことになり、窓もワイヤー入りの二重ガラスを採用。筆者も罹災現場は何回も体験していますが、水あめのようにとろけた窓ガラスもワイヤーによってギリギリ遮蔽していることが分かります。ガラスが割れて、火と煙が侵入してくるのは時間の問題であるが少しでも類焼が遅れることは大事な要素です。こちらのお宅も表のガラスは溶けかかってヒビも入っていましたが、二重ガラスの安全効果は高かったわけです。費用は一般住宅より1.5倍ほど高くついたそうですが、価値は十分に立証されました。最近の耐火ボードは、防災性能の高さが認められ、火災保険料の軽減にも大きく影響しています。
そして立地条件も最高なのです。俯瞰図で拝見してみますと「なるほど」と思わせるような素晴らしい立地条件。見事な空地が周りを囲んでいます。玄関前は道路、向かって左は5台分の駐車場。右には1mくらいの私道があり裏は広い空き地(これは偶然なのでしょうが)。四方が空地に囲まれ、横からくる類焼を食い止めたのでしょう。

■2.飛び火のメカニズム
全国に乾燥注意報が発令されるなか、とある過失から失火。
南の山から吹き下ろすフェーン現象により、あっと言う間に燃え広がりました。北側に海が無ければ何処まで被害が広がったか想像できません。改めて飛び火の怖さを知らされました。火災現場から離れているにも関わらず、自宅の屋根が燃え始めることにも強く恐怖を感じます。鎮火した後の写真を拝見しますと、壁はきれいに残ったまま、屋根が丸く燃えてしまっています。屋根の材質を選ぶことによって、かなり防ぐことが出来そうです。

■3.どうなる賠償問題
結論から先に申し上げますと「賠償は受けられない」でしょう。
日本は木造家屋が多く、今回のように拡大する可能性が高いので、世界的にも珍しい法律“失火法”が制定されています。ただし重過失と見なされた場合には、失火法は適用されずに賠償義務が発生しますが、今回の被害は消失財産だけでも数十億円とも言われ、これからの営業利益などを計算すればとても個人的に賠償できる金額ではありません。失火元のご主人は、責任を追及されることと思われますが経済的な弁済は不可能でしょう。鍋を火にかけたまま外出したことが重過失となるか判例結果が注目されるところでもあります。

■4.火災保険は自助努力
火災事故は、200年に一度の確率と聞いたことがあります。でも周りに3軒家があれば50年に一度の確立になるわけです。皆さんのお宅から、失火は起こさないでしょうけれども、類焼の確率は高いのです。そしてどの様な原因であれ、賠償は受けられないと認識して、完璧な火災保険に入られることをお勧めいたします。保険を備えることによって、人命を優先し総ての財産を捨てて迷わず避難できるのでは無いでしょうか。

■5.災害救助法の適用
罹災された方は災害救助法の適用により、保険料などの支払い期限は一定期間延長が認められますが、補償は続けられていますのでご安心ください。

□糸魚川大火に耐えた奇跡の1軒 08年完成「丈夫な家」
http://www.asahi.com/articles/ASJDW5364JDWUOHB00W.html

□糸魚川火災 飛び火で延焼が7か所以上か 専門家調査
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170114/k10010839……71000.html

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