平和な世の中に慣れてしまった生活。突然の災害・事件に対処できるのだろうか?

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身近に感じる危機管理

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平和な世の中に慣れてしまった生活。突然の災害・事件に対処できるのだろうか?

保険をもっとわかりやすく > 身近に感じる危機管理 > 第113話 監督義務者の範囲

第113話 監督義務者の範囲

最初に結論を申し上げます。
『個人賠償責任保険(日常生活賠償)の補償内容が飛躍的に向上しました』
(実施スケジュールは、保険会社によって異なりますので文末をご確認ください)

近年「遠隔地に住む父親の、徘徊行動による賠償責任もダイバーズで補償されますか?」との問い合わせが、年に1~2件寄されており、少し残念なお答えしかできずに歯痒い思いを抱いておりました。拝見していると様々なケースがあり、ひとくちに大丈夫ですとは答えられない約款内容でした。
しかし今回、損保大手3社は明確に補償できるよう改定した事を発表。プレスリリースもされています。

改定点を3社分まとめて大まかに説明しますと、
従来の個人賠償保険では、
【以前】監督義務のある認知症の家族が列車運行を妨げると賠償請求されますが、事故状況によっては免責になります。
でしたが、
【今後】あらゆる事故状況でも、誤って列車運行を妨げてしまった場合には保険対象になります。

きっかけは、2007年JR東海での列車事故でした。
当時、ご夫婦で家庭内介護を続けていましたがご主人には徘徊する癖があり、その日もちょっとした隙に表へ歩き出し踏切に進入して列車にはねられ死亡しました。それだけでも家族はショックでしたが、ある日鉄道会社から同居の妻と“別居中の長男”宛に賠償請求が行われ、8年掛けて最高裁までもつれ込み最終的には棄却されました。
この問題で「これでは家庭内での介護は無理ではないか」との議論が巻き起こりました。

“別居中の長男”をハイライトにて表現したいのですが、遠く離れた場所で子供さんが生活を送っているケースは周りにもたくさんあります。そして自分の親が日に日に認知症になっていることなど積極的には認めたくないでしょう。そしてなかなか気が付かないものです(筆者もそうでした)。それがある日、上記のような事故を起こしてしまい、突然に高額な賠償請求が突きつけられる現実。以前までこのような相談には「実家でも同じように個人賠償保険に加入しておいてください」と答えていましたが、それでも不完全であり「人体への障害や物への損壊を伴う損害でなければ保険は免責」だったのです。ですから非常停止ボタンが間に合い、運行ダイヤが乱れ、振り替え輸送が実施された場合の損害賠償は保険からは支払ってもらえなかったのです。中には「列車の運行不能損害は免責」と約款に明記されている会社もありました。

“監督義務者”とは、誰が適任なのか。という問題も残ります。たまたま実家近くに所帯を構えて、機会あるごとに見舞い面倒を見てきた娘さん。本来家長であり跡継ぎでもある長男は遠く離れて暮らしており、仕事も忙しくしばらく実家へは寄り付いていない。この状態から事件が起こり“監督義務者”とされてしまうようであれば、家族間での介護も二の足を踏むことになりかねません。
しかしこの様な現実は、世の中にたくさんあるはずです。“監督義務者”とは長男に限られる訳ではありません。しかしこの長男がある事情で責任を果たすことが出来ないことを他の家族が知っていた場合はどのようになるでしょうか。遺産相続の関係を逆にして考えてみると理解が得られるかもしれません。親子での老々介護も珍しくなくなりました。「自分は長男ではない」と安心を決め込まず、もう一度ご自分の家族を広く見つめなおして、慎重に備えてみてください。

皆さんが加入されている「ダイバーズ」をお引き受けしておりますAIU保険会社では、今のところ「人体への障害や物への損壊を伴う損害でなければ保険は免責」のままでありますので、電車と接触は無く物的損害は避けられたがダイヤの遅延や振替輸送など間接的な営業損失については補償されません。

でも、これらは過去の話に成りつつあります。
×AIUでも、近いうちに良き改定がなされるはずでありますので、随時ご連絡させていただきます。
●東京海上日動は、2016年10月から、
●損保ジャパン日本興亜、三井住友海上、あいおいニッセイ同和の3社も2017年1月から改定されます。
既に『個人賠償責任保険(日常生活賠償)』にご加入の方は、次の更改契約がなされてから新しい約款に変わりますのでご注意を。

■認知症事故の公的補償見送り 連絡会議「民間保険で」
http://www.asahi.com/articles/ASJDF5S6QJDFUTFK016.html

■認知症事件(JR東海事件)最高裁判決に関する簡単な解説とコメント
http://milight-partners-law.hatenablog.com/entry/2……/02/152745

■監督義務者の責任
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%A3%E7%9D%A3%E……C%E4%BB%BB

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