■はじめに
ハンコの正しい名称は“印章”といいます。
この印章を紙などに押捺したときに写る形を“印影”といい、
この印影を役所や金融機関に登録したものを“印鑑”といいます。
■捺印文化
日本では、まだまだ印章の押捺が貴重とされ、保険契約などは署名捺印文化の最たる例です。
私の個人的な考えでは、もう少し柔軟になっても良いと思っており、役所や保険契約には印鑑なしでも要件を満たす場合が沢山あると思われます(保険契約も一部、本人の署名だけでOKになりつつあります)。
しかし、イギリス人の友人に聞いた話ですが、自分の銀行口座をサインで登録したけれども審査が厳しく、保険申込時の振替口座登録用紙が毎回不一致で通らないそうで、これではサインより印鑑の方が確実ですね。
印章を使用しているのはアジア圏だけで、韓国と台湾には印鑑登録制度がありますが、本場中国には印鑑登録制度は無く、落款(らっかん)など芸術品として普及しているようです。
■“手彫り”と“機械彫り”
さて今回は、皆さんの大事な印章ですが“手彫り”と“機械彫り”の大きな違いと危険についてご説明します。
まず個人的には実印と呼ばれる「印影の登録」がありますね。私も初めて自動車のローンを組む為に作りましたが、少し大人になった証のように感じました。
そして会社を設立すると、やはり法人用としての「印鑑証明」が必要になります。「登記簿謄本」と一緒に提出を求められたりします。
此処で考えていただきたいことは、あなたの大事な印章がふたつ存在したらどうなるでしょうか。
人間の手で“手彫り”するならば、まったく同じものをふたつ作ることは至難の業ですが、“機械彫り”ですと意図せずに同じものが出来てしまうのです。
■印章模倣は法律違反
「大事な会社実印を無くしてしまい、急いで同じものを作ってほしい」と頼んでも、印章製造の職人さんがご自身で経営している店であれば、このような用件は絶対に引き受けません。法律で禁止されていますし、トラブルに巻き込まれる元ですから。ワザと同じものを作ることは違法です。(刑法 印章偽造の罪164条~168条)
印章を無くしてしまった場合には、しばらくの間不便ですがイチから印章を作り直してもらい、登録印を届け直す事が大切です。
■有ってはならない同じ印章
ところが、そっくりな印章が世の中広く出回っているのです。それはコンピューターのフォントにて原稿を作り、工作機械にて“機械彫り”して出来上がる印章。
次のURLを参照していただきたいのですが、いかがですか、そっくりですよね。
http://insho.jp/hitokoto.htm
私も以前までは、何となく東急ハンズなどで頼んだりしていました。値段も安めのものを選んでいたような記憶があります。その違いについては何ら説明もありませんでしたし、安めを選んでいてもそれなりの負担額には感じていたので。
印章模倣による事件性については皆様のご想像にお任せしますが、大切な印章は印章彫刻一級技能士の手で彫ってもらいましょう。
■番外編
今回、弊社の契約印が欠けてきて印影が乱れているので新調することになり、何となくチェーン店ではなく出来るだけ町内の職人さんが作ってくれるお店を探しました。
私がいろいろ質問するので、丁寧に色々と教えてもらいましたがネットで調べてみても大変な問題であることがよくわかりました。
以前の契約印は、明らかに“機械彫り”されたもので、周りの土手がシャープ過ぎて欠けてしまったのです。
http://insho.jp/robot&tebori.htm
お役目御免になった印章も「印章供養ができますよ」と教えてもらいました。
http://kaiun-inkan.jp/kaiun/inkan-kuyou.html
なんと無料なのです。
皆さんもこれを機に、お近くの印章名人を探して作り直してみてはいかがでしょうか。
▼ 関連記事 こちらもご覧下さい