食品管理に欠かせない冷蔵や冷凍技術の進歩と、物流環境の進化によって、様々な新鮮食材が手軽に食せるようになりました。
しかし、衛生管理の行き届いた日本に於いても深刻な食中毒事故は後を絶ちません。
厚労省のデータでも明らかなように、ひと昔前まで夏場の事故が多かったのですが、現代では冬場の方が食中毒事故のピークになっています。
以前は、温度管理が不十分なため夏場に菌やウイルスが繁殖して拡大するケースが多かったようですが、現在猛威を振るう菌やウイルスは、空気が乾燥した冬場の環境で繁殖するタイプが主流です。
「チフス菌」「赤痢菌」「腸管出血性大腸菌」「A型肝炎」「ノロウイルス」が、食中毒ビッグファイブと呼ばれ、体力の弱いお年寄りや子供が罹患すると、最悪死亡するケースもあります。
そして十分にご理解いただきたいことは
・消毒だけでは防ぐことができない。
・少々の過熱では死滅させられない。
・食べ物だけではなく使用済み食器などからも罹患する可能性がある。
という事です。
(ノロウイルスと思わしき嘔吐物の処理方法は、身近に感じる危機管理バックナンバー第77話をご参照ください)
「A型肝炎ウイルス」は食品や水を介して感染するのですが、“水”さえあれば死滅しないので、ペットボトルの回し飲みなどで罹患してしまう可能性は充分にあります。
「A型肝炎ウイルス」は、慢性化せず発症しないことが多いので、罹患に気づかないことも多くありますが、罹患者の咳一つが調理食品に混入すれば、殆どに人にうつしてしまいます。
「ノロウイルス」は、乾燥させても死滅しませんし塵埃(じんあい)を介して鼻や口から摂取して感染してしまいます。
食品からの罹患原因は、2枚貝が多いようです。平成24年のノロ大量発生源は生ガキでした。
この時期、生でも焼いても美味しいですよね。
ご本人の体調にも寄りますので、コンディションを整えて食べるのが良いかと思います。
それでも「ノロウイルス」は、胃酸すら突破してしまいます。
「ノロウイルス」に罹患してしまうと今のところ特効薬もありません。
普段から免疫力を養い、それでも罹患してしまった時には対処療法で直すしかありません。そして、周りの人に移さないように心がける事が必要です。無理な職場復帰は拡大感染の元ですから自粛しましょう。
■ノロウイルスによる食中毒発生状況 厚生労働省HPより
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou……214-1.html
■第77話 次亜塩素酸ナトリウム
http://melmaga.toy-hoken.co.jp/danger/2013-12-20-1136.php
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